カテゴリー: 映画の楽しみ方

  • 私が好きな演出。時間経過の表現について

    映画で時間経過を表現するとき、「3年後」などとテロップを表示して時間経過を表しているのをよく見かけます。もちろんその方法でも違和感なく映画を見続けることができます。でも私が好きなのは、そういったテロップを使わずに映像で時間の流れを感じさせてくれる映画です。

    この記事では、私のお気に入りの時間経過を表現した演出をいくつかご紹介します。

    タイムラプスで時間を語る

    ウォン・カーウァイの「ブエノスアイレス」では、主人公が孤独の日々を過ごす場面で、街を固定カメラでタイムラプス撮影することで時間の経過を表現しているシーンがあります。「何年後」というテロップはありません。そのシーンを見ていた私は、朝から夜になるまでの太陽の動きや道路上を走る大量の車の流れ、その映像だけで長い時間が経過したことを自然に感じ取れました。タイムラプスで取った映像があるだけでスタイリッシュに見え、ウォンカーウァイの世界観にマッチしたとってもいい演出だと思います。

    デヴィッド・フィンチャーの「ゾディアック」でも同様にタイムラプスを使って時間経過を表現するシーンがあります。実際の未解決事件を題材にしたこの映画では、捜査が行き詰まり何年もの時間が過ぎていく重さを、ビルが建設されている様子をタイムラプス撮影することで表現しています。余談ですが、このビルが建設されるシーンは実際に建設されるところを撮影したのではなく、CGを使って映像化をしたそうです。制作人のこだわりを感じます。

    説明せずに時間を感じさせる

    他にも時間経過を映像で演出させたよい例として「ムーンライト」が挙げられます。

    「ムーンライト」はタイムラプスを使いませんが、時間経過の表現として非常に印象的な場面があります。

    章が変わり新しい場面になると、見知らぬ男性がタイマーで目を覚まします。その後、その男の母からの電話がかかってきて初めて私たち観客はこの人物が主人公だと気づきます。それと同時に、変わり果てた肉体や母の言葉使いや心情の変化から、時間が経ち多くのことが変わったことを一気に感じ取れます。

    まとめ

    テロップで表示するのは親切かもしれません。でも映画って映像で届けることが何より大切だと私は思います。テロップやナレーションに頼らずに映像で工夫しているシーンはやっぱり一味違う良さがあるなと私は思います。

  • 映画におけるオープニングの役割と重要性

    私は映画を鑑賞するときに大好きな時間があります。それが最初に流れるオープニング、タイトルや制作スタッフの名前が映像や音楽とともに流れるあの時間です。

    映画館に入って突然その映画が始まるのも悪くないですが、オープニングがあることで世界観に没頭するための事前準備ができます。水泳における準備体操のようなイメージです。どんな映画なのか、作品の力量を測る指標にもなりえると思っています。

    オープニングの役割

    良いオープニングはその映画の雰囲気をそのまま伝えてくれます。

    特に印象的なのがヒッチコックの「めまい」と「ツインピークス」シリーズです。この二つに共通しているのは、音楽と映像が世界観の雰囲気に完全にマッチしていて、観客に準備するための十分な時間を与えてくれているところです。

    「めまい」のオープニングは不安感がありながら、これから何かが起こるんだという壮大さも感じ取れます。反対にツインピークスは、少し不気味でありながら、自然の映像を背景にどこか懐かしい音楽が流れます。初めて聴くはずなのに、昔テレビで流れていたような既視感がある。その不思議な感覚がそのままツインピークスという作品の雰囲気を表しています。

    また、映画館の音響で見るとオープニングの重要性がより一層わかります。大きなスクリーンと音響の中でオープニングが流れると、日常から切り離されてその映画の世界に入っていく感覚があります。

    オープニングがないことが効果的な作品もある

    ただ、オープニングは必須ではありません。

    オープニングがあることで逆に創作物っぽさが出てしまう作品もあります。例えば「美しき仕事」や「ジャンヌ・ディエルマン」のような作品です。ジャンヌ・ディエルマンには青い背景に制作に携わった数名の名前が入っているだけで、華やかな演出は一切ありません。でもそれがあの映画の世界観に合っている。

    ドキュメンタリーのようなスタイルで作られた映画にとって、派手なオープニングはむしろ邪魔になることもあるのです。

    まとめ

    オープニングはその映画への入口です。次に映画を見るとき、オープニングに少し意識を向けてみてください。その映画が何を伝えようとしているのか、最初の数分で感じ取れるものがあるはずです。

  • 映画の扉へようこそ

    映画って本当にいいですよね。

    映像で観客を多様な方向から楽しませる。ストーリーが面白い。こだわりを見つけるのが楽しい。新しい価値観を知る。考えを共有できる。

    このブログ「映画の扉」では、私が好きな映画や監督、印象に残った演出について書いています。映画好きの人にも、これから映画を見てみたいという人にも、読んでいただけると嬉しいです。

    映画を見て感じることに正解はありません。気軽に読んでいってください。